ARJ Magazin Vol.007「失敗はチャレンジしたからこその結果。“動かないこと”を恐れて欲しい」

【名前】多々良敦斗
【経歴】松本山雅FC/ベガルタ仙台/ジェフユナイテッド千葉/ロアッソ熊本/FCマルヤス岡崎
【活動】アスリート心理レーナー(TM)

学生時代について

ーサッカーを始めたキッカケを教えてくださ

出身が静岡県なので、幼稚園の頃から“みんなサッカーをやっている”という環境が当たり前にあって、むしろサッカーをやっていない人の方が少数派なくらいでした。

自分が通っていた幼稚園の隣が小学校で、そこにいたお兄ちゃん達と、よくグラウンドでサッカーをしたり、帰宅後に公園でサッカーをしたり、そのような環境で育ってきた中で、「サッカー楽しいな」と思ったのがスタートですね。

逆にサッカー以外の選択肢がなかったですね。

ーサッカー選手を目指したのはいつ頃からでしたか?

中学生の頃から「サッカー選手になりたいな」と思ってはいて、高校を卒業してからプロに…と考えてはいましたが、まだボンヤリとしていました。

一番のポイントは小学生の頃に、日本平で行われたジュビロ磐田と清水エスパルスのチャンピオンシップを観戦した時でした。

その試合の前座試合に出場したのですが、そこで初めてプロサッカー選手達を生で見た時に、「サッカーって凄いな」と感じたことが大きかったです。

当時特にですが、ジュビロ磐田と清水エスパルスは静岡だけではなく、Jリーグ全体の中でも代表となるクラブだったので、より一層そこでの経験が大きかったですね。

ーどのようなことを意識して取り組んでいましたか?

「反復練習を手を抜いて行わない」ということでしたね。基礎の重要性を理解していたので、一番面倒くさいと感じる当たり前のことを、当たり前にやる、ということは意識していました。

あとは中学生の頃の指導者の方に、「サッカーは頭を使ってやるスポーツだ」とずっと言われて、そこから頭で考えながらプレーするということも意識していましたね。

特に自分自身は身体能力がある訳でもなかったし、身長も特別高い訳でもないので、そのような状況の中で、どうやって相手を上回るか?ということを余計に考える必要がありましたね。

プロサッカー界について

ーサッカー選手の魅力を教えてください

あの大勢の前でサッカーができることであったり、好きなことを職業にできることは特別だと感じました。

“仕事”という感覚は良い意味であまりなく、「好きなことをやっている」という感覚が強いです。

ープロサッカー選手になって最も苦労したことを教えてください

やっぱり“メンタルコントロール”の部分ですかね。

今でも凄く考えますけど、メンタルコントロールの部分はスポーツもそうですし、人生全般を考えても、メンタルをどうコントロールしていくかは重要だと感じています。

初めてチームを移籍した時や、試合に出られない時期とかは、最初は苦しかったですね。ただ、“逃げない”ということは意識していました。

サッカー中もそうですし、サッカー以外の場面でも、何か周りから言われたら断らず、まずはやってみようと思って、トレーニング関係でもそうですし、オフの場面でも誘われたご飯に行くとか、サッカーだけで何とかしようとすると難しいと感じていたので、意図的に人といることを意識したりもしました。

自分のことって自分が一番よく分かっていなかったりするので、人と接することで、今までは見えていなかった視点から物事を捉えることができたりするので、より自分を知っていくためにやっていましたね。

ーサッカー界に入って驚いたことはありますか?

自分含め、“お金への知識が無いこと”です。サッカー選手はそれを“知っていくべき”だと凄く思いました。

そこはサッカー界の構造的に変えていかないと…と強く感じています。

僕達の親世代でも、お金の勉強はほとんどしてきていない中で、これからはお金をどう守るのか、使うのか、ということを、サッカー界でもそこの勉強のムーブメントを起こしていかないと、最終的にサッカー選手になったは良いけど、全然お金が残っていないとかよくあることなので、そういったところの重要性は本当に感じましたね。

これからについて

ー今後のキャリアについて教えてください

まずは今年、ラインメール青森FCとしてJ3リーグに昇格する。しっかりと地域を盛り上げて、優勝して昇格するということは絶対条件かな、と思っています。

あとは僕が24歳の時に、松田直樹さん(当時34歳)が目の前で倒れて亡くなってしまった出来事があって、その時に“死”というものを物凄く考えさせられて、なのでそれから34歳まではプレーしたいと思っていました。

ですが、自分が実際に34歳になってみて感じることは、「全然まだまだ自分は小さいな」と思ったのと、年齢を重ねていくごとにサッカーに対する見え方が変わってきて、違う面白さがどんどん出てきたので、自分がやれるところまでやりたいな、と思っています。

ただ、デュアルキャリアとして様々なことに取り組んでいかないと、サッカーを長く続けられる環境を整えられないと思っているので、そこは意識していますね。

ーセカンドキャリアでのビジョンはありますか?

ゆくゆくはアスリートをフォーカス的にサポートする仕組みを創りたいと思っていて、サッカー界には代理人の方々がいるのですが、基本的に代理人の方とはサッカー選手の時だけの付き合いになってしまっています。

なのでサッカー選手は意外と“頼れる人”があまりいないのが現状です。

やはりメンタルの分野だったり、セカンドキャリアの準備の勉強をする環境だったり、選手の人生をトータルでサポートしていく仕組みを創りたいですね。

僕は今、メンタルの分野を勉強していて、それを伝えているのですが、最終的には現役中だけではなくて、プロになる前から引退後の人生までサポートできれば、アスリートを目指す環境を、より整えられるのかな、と思っています。

指導者を目指すにせよ、サッカーという枠組みだけではなく、例えば農業だったりとか、色々な軸を持っていきたいと考えていますね。

ー最後にアスリート、体育会学生にメッセージをお願い致します

僕は全くエリートではなかったですし、大学卒業時も全然チームが決まらなくて、その中でギリギリ松本山雅FCに入らせて頂いたおかげで、今があると思っています。

なので頭で考えているだけではなく、まず行動することが大切だと感じていて、世の中の人々は基本的に“インプット過多”で、インプット9割、アウトプット1割のように思います。

ではなく、まずは行動してアウトプットしてみて、そこで出た課題を解決していくということを、若い時からやっておくと、これからの人生にプラスになっていくと感じます。

失敗はチャレンジしたからこその結果なので、“動かないこと”の方を恐れて欲しいと思いますね。

ー本日はありがとうございました。

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