Arxcs Magazine Vol.021「組織に所属しているだけでは全く意味はない」

【名前】岩城雄大
【経歴】東福岡高校サッカー部→関西学院大学サッカー部
【部内での役割】主務

高校時代について

ー大学サッカーへ進んだ経緯を教えてください。

高校時代は、プロサッカー選手になるというより、大学でサッカーがしたいという気持ちが漠然とありました。

当時、プロに行く実力にも到達していませんでしたし、大学に対する憧れも大きかったのだと思います。

大学選びの基準は、もちろんサッカーのレベルが高いということと、学業も疎かにしないような環境と決めていましたね。

地元は福岡ですが、大学では九州を離れて、新しい環境で挑戦したい気持ちがありました。

また、より異国感があるのは関東より関西だったので、これらの理由で関西学院大学を希望して、スポーツ推薦で入学することができました。

東福岡時代の2つ上の先輩に関学の方がいたこともあり、色々お話をさせていただいて、サッカーだけではなく”人”としても成長できると聞いて決断しました。

大学サッカーについて

ー大学に進学して感じたことはありますか?

初めの頃は、とてもストレスを感じていました。

関西に友達もいませんでしたし、スポーツ推薦組も関西出身が多かったため、なかなか輪に入っていけなかったです。

関西人のノリもインパクト強かったですし、関西弁にも慣れるまで少し時間はかかりましたね。

あとは、サッカー面で言うと、強度の高さには全然ついて行けませんでした。

高校の頃もフィジカルメニューはありましたし、2部練習なども経験していましたが、大学サッカーのキツさは全然違くて、同期のメンバーとも「ヤバいな」と話し合っていました。

ー大学サッカーで成長できた実感はありますか?

そうですね。

マインドの成長が大きくて、ピッチ上で熱量持ってサッカーに取り組むことは前提なのですが、ピッチ外の活動を通じての「主体性」の部分に目を向け始めることができました。

そして、個人的にも少しずつ興味を持つようになり、学年ミーティングや役職やカテゴリーが違う人たちとの関わりを持つことに価値を感じていました。

例年関学サッカー部では、2年生になるとコンダクターミーティング(学生スタッフを決めるミーティング)が行われます。

このミーティングを同期と行い、最終的に2年生のタイミングで現役を引退し、スタッフになる決断に至りました。

本人提供

ーでは、現役を引退した当時はどのような考えでしたか?

コンダクターミーティングがスタートした時は、選手を続けるか引退するかという2つの選択は、意外とフラットに見ていました。

周りの同期は、100%選手を続けると決めていた人たちも多かったです。

本格的に考え始めたのが10月ごろで、そもそも大学入学してからサッカーに関わるのはこの4年間までだろうなと感じていたので、あと2年間サッカーとの関わり方を考えました。

当然、選手としてやりきる選択肢もありました。ただ、これまで10年と少しやってきて、残り2年の選手としての姿がなんとなく見えたんですよね。

一方で、学生スタッフとしてサッカー部に関わるとなると、わからないことが多くありました。

2年間という決められた時間の中で、挑戦することは面白いことだと感じつつ、最後の意思決定にはずっと迷いがありました。

高校時代の同期が関西、関東で活躍している姿も見ていましたし、僕はスポーツ推薦で入学させてもらっていますし、サッカーをやめるという決断は正直怖かったです。

ただ、スタッフとしての自分にも興味はありましたし、そのほんの僅かな可能性に賭けないと、引退する時に後悔するかもなと思って、11月末に引退することを決断しました。

ー大学サッカーの良さや得れたことはありますか?

一つ目は、体育会という狭い箱の中でも、気づけていない世界がありましたし、自分の可能性や視野が広がった感覚があります。

今年から主務になったことで、どれだけの人が一つの試合に対して関わっているのか、色々な角度からサポートしていただけているのかを感じることができました。

運営するという立場に立ったからこそ、新しい景色が見えたので、これからも1人の参加者だとしても、裏側の人たちの存在は意識していくと思います。

そして二つ目としては、自分にベクトルを向けられるようになったことです。

責任が求められる立場になったからこそ、どうしようもないことがあることも知りました。

選手時代にも理不尽は経験してきていますが、社会や組織でも何か運営していくと、僕たちでは変えることができない領域があります。

外的要因に矛先を向けて、言い訳していても前に進まないですし、僕たちでやれるだけのことをして、そしてどう巻き込んでいくのか、発信していくのかを考えることは本当に鍛えられましたね。

本人提供

これからについて

ー今シーズンの残りをどうしていきたいですか?

まずは”日本一”を取りに行くことはブレずにやりたいです。

ただ、全員がそこの目標に向かって、努力できているのかと言われれば、まだまだだと感じますし、総理大臣杯も逃しているので、厳しい状況であることは間違いないです。

Aチームには4回生が多い中で、もっと覚悟を持って取り組むべきだと思います。

また、僕は選手ではないので、組織として長期的に成長できるような種まきができればいいなと思います。

他大学のスタッフとの繋がりを作ることや、大人スタッフとの関係性、文化の継承をやっていきたいです。

ー最後に、体育会学生へメッセージをお願いします。

大学スポーツは、とても楽しい環境です。

当然、苦しいことや思い通りにいかないことだらけですが、この4年間を大学サッカーという環境を選んで本気で取り組むことが、僕自身の今後の糧になると感じています。

自分の素直な想いをそのまま、大学スポーツという環境を使って、体現していけばいいかなと思っています。

組織に所属しているだけでは全く意味はないので、個人として自分の力をどう伸ばすかに向き合い続けてほしいです。

ー本日はありがとうございました。

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